身内がいない「おひとりさま」が亡くなったら財産はどうなる? 相続人がいない場合の相続について弁護士が解説
「結婚しておらず子どももいない」
「兄弟姉妹とも疎遠になっている」
「自分が亡くなった後、財産はどうなるのだろうか」
近年、このような相談を受ける機会が増えています。
少子高齢化や未婚率の上昇に伴い、亡くなった方に相続人がいない、いわゆる「おひとりさま」の相続は珍しいものではなくなりました。
では、相続人が誰もいないまま亡くなった場合、その財産は最終的にどうなるのでしょうか。
今回は、相続人がいない場合の相続手続について解説します。
相続人がいない場合でも、すぐに国のものになるわけではない
相続人がいない場合、
「財産はすべて国に取られてしまう」
と思われることがあります。
しかし、実際にはすぐに国庫へ帰属するわけではありません。
まず、家庭裁判所により「相続財産清算人」が選任されます。
相続財産清算人には、弁護士などの専門家が選任されることが一般的です。
相続財産清算人は、
- 預貯金
- 不動産
- 株式
- 負債
などを調査し、債権者への支払いや財産の換価を行います。
その上で、なお財産が残った場合に初めて国庫へ帰属することになります。
相続人がいない人は増えている
実際に、相続人不存在により国庫へ帰属する財産は年々増加しています。
司法統計などでも、相続財産清算人が選任される事件は継続的に発生しています。
背景には、
- 未婚のまま高齢になる人の増加
- 子どものいない夫婦の増加
- 兄弟姉妹の高齢化
- 親族関係の希薄化
などがあります。
特に最近は、
「法定相続人はいるが何十年も交流がない」
というケースも少なくありません。
財産を特定の人に残したいなら遺言が重要
相続人がいない方の相談で最も多いのは、
「お世話になった人に財産を残したい」
という希望です。
例えば、
- 長年世話をしてくれた友人
- 内縁の配偶者
- 甥や姪
- 福祉施設の職員
などです。
しかし、遺言がなければ、そのような方に財産を渡すことは簡単ではありません。
そのため、相続人がいない可能性がある方ほど、遺言書を作成する意義は大きいといえます。
慈善団体や学校に寄付することもできる
近年は、
「親族に残す人がいない」
という理由から、
- 公益法人
- 福祉団体
- 医療機関
- 学校法人
- 研究機関
などへ遺贈する方も増えています。
これも遺言によって実現することができます。
生前に築いた財産を、自分の意思で社会に役立てたいという考え方です。
特別縁故者として財産を受け取れる場合もある
相続人がいない場合でも、
亡くなった方と特別な関係にあった人は、「特別縁故者」として財産の分与を受けられる可能性があります。
例えば、
- 長年介護をしていた人
- 内縁の配偶者
- 生計を支えていた人
などです。
もっとも、自動的に財産を取得できるわけではありません。
家庭裁判所へ申立てを行い、特別縁故者に該当することを認めてもらう必要があります。
東三河でも増えている相談
豊橋市や豊川市をはじめとする東三河地域でも、
「子どもがいない」
「兄弟姉妹しか相続人がいない」
「身寄りがほとんどない」
という相談は年々増えています。
相続は亡くなった後の問題と思われがちですが、相続人がいない可能性が高い場合ほど、生前の準備が重要になります。
特に不動産を所有している場合には、相続人がいないことで管理や処分に時間がかかることもあります。
まとめ
相続人がいない場合でも、財産が直ちに国庫へ帰属するわけではありません。
相続財産清算人による手続を経た上で、最終的に残った財産が国庫へ帰属することになります。
もっとも、
「お世話になった人に財産を残したい」
「社会に役立ててほしい」
という希望があるのであれば、遺言によって実現できる可能性があります。
相続人がいない方や、将来的にその可能性がある方は、元気なうちから相続対策を検討しておくことをおすすめします。
この記事は、愛知県豊橋市の弁護士法人柴田・中川法律特許事務所の弁護士が監修しています。
同事務所では、豊橋・東三河地域を中心に、相続・遺産分割・相続放棄・遺言、遺留分、成年後見などの法律相談に対応しています。

