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再婚禁止期間の廃止について

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2024年06月12日

再婚禁止期間とは?

 女性が離婚後に、すぐに再婚することは可能でしょうか?もう離婚した後なので、再婚は何の問題もないのではないかと思われる方も多いでしょう。

 実は、2024年4月に改正法が施行されるまでは、女性についてのみ、「前婚の解消または取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない」とされていました(改正前民法733条)。
 この規定により、別居が長く離婚時にはすっかり婚姻関係は形骸化していたような場合であっても、離婚から100日経過後でないと女性は再婚できなかったのです。(なお、平成28年までは、この期間は6ヶ月間とさらに長期間でした。)

再婚禁止期間が定められていた理由とは?

 では、なぜ女性にだけ再婚禁止期間が設けられていたのでしょうか。
 これは、子の嫡出(ちゃくしゅつ)推定(ちゃくしゅつすいてい)の規定と関係があります。

 改正前は、婚姻してから200日を経過した後に生まれた子、離婚後300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定され(改正前民法772条2項)、婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定されていました(改正前民法772条1項)。

 分かりにくいので、具体的に説明をしますと、たとえば、前の夫と離婚をした後でも300日以内に子を出産すると、前の夫の子と推定されます。一方で、100日の再婚禁止規定がないと、女性が新たな夫との間で再婚した後200日を経過した後に子を出産すると、新たな夫の子と推定されることになってしまい、前の夫と再婚後の夫との間で、子の嫡出推定が重複することになってしまうという事態が生じてしまいます。

 こうした嫡出推定重複を避けるため、女性には100日の再婚禁止規定がもうけられていたのです。

なぜ廃止されたのか?

 嫡出推定は、早期に父子関係を安定させるという効果をもたらすものの、近年、無戸籍児の問題が指摘されてきました。
 例えば、なかなか前夫と離婚できずにいる間に、他の男性の子供を妊娠した場合、戸籍上前夫の子とされてしまうのをおそれて出生届を出せず、結果として子供が無戸籍になってしまうという問題です。


 また、DNA鑑定により、ほぼ100%親子関係が確定する現在において、女性にのみ再婚禁止期間を設けることの合理性も疑問視されるようになってきました。

 これを受けて法改正がなされ、2024年4月1日以降は、婚姻中に懐胎した子はもちろん、婚姻後200日以内に生まれた子や離婚等の日から300日以内に生まれた子でも、新たな夫と再婚をしていれば、再婚後の夫の子と推定されることになりました。
 嫡出推定規定が見直されることで、女性の再婚禁止期間も廃止されることになったのです。

法改正後も気をつけること。

 なお、離婚等後300日以内に生まれた子については、新たな夫と再婚をしていなければ、前の夫の子と推定されることになりますので、その点には注意が必要となります。

 このような場合、前夫との親子関係を否定するには、「嫡出否認」の調停を申し立てる必要があります。今回の法改正で、嫡出否認の手続も拡大しましたが、原則として子の出生から(前夫からの申立の場合は子の出生を知ったときから)3年以内に申し立てる必要があり、期間制限があることに留意しなければなりません。

 再婚禁止期間や、嫡出推定については、上記のような法改正の経緯もあり、なかなかご自身では対応できない難しい問題も出てくるかもしれません。
 お悩みのある方は、どうぞお気軽に弁護士法人柴田・中川法律特許事務所までご相談ください。

この記事の執筆者

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弁護士(愛知県弁護士会所属)

由田 恭子YASUKO YOSHIDA

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