交通事故の入通院慰謝料
- 交通事故
2024年06月14日
交通事故に遭われたお客様から、入院や通院の慰謝料についてご質問を受けることがあります。
実際に寄せられた疑問をもとに、以下のような事例を使って解説いたします。
私は、●月×日に交通事故に遭いました。事故態様としては、私が赤信号で停車していたところ、後ろから車が追突してきたというものです。幸いなことに、ケガは、むち打ち程度ですみましたが、車の修理は必要になるし、病院に3か月ほど通う羽目になってしまいました。治療も終って、ケガも治ったところで、相手の保険会社から損害賠償金の提示を受けました。色々と金額が書いてあったのですが、「慰謝料」の項目には「30万円」と書かれていました。この慰謝料の金額は妥当なものなのでしょうか。
交通事故の慰謝料とは?
交通事故に遭われた場合、被害者が受けた精神的苦痛をてん補するため、慰謝料の賠償請求が認められています。「慰謝料」は、①傷害の症状が完治するまでのもの、あるいは、症状が固定するまでのものと、②症状が固定した後に後遺障害が残ってしまった場合のものに分けられます。
実務上では、①のものを入通院慰謝料とか傷害慰謝料と呼び、②を後遺症慰謝料と呼んでいます。
相談者様は、治療が終わり、おケガも完治されているようですので、相手の保険会社から提示を受けた「慰謝料」は、上記①の入通院慰謝料(傷害慰謝料)の提示を受けたものと考えられます。
金額の妥当性はどのように判断すれば?
では、入通院慰謝料(傷害慰謝料)として、「30万円」という金額は妥当なのでしょうか。
保険会社から言われた金額なので、そのまま受け入れなくてはならないのでしょうか?
このような場合、どのように妥当性を判断するかを解説します。
実務では、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(いわゆる「赤い本」)という本に、入通院慰謝料(傷害慰謝料)の基準が書いてあり、その基準を基に入通院慰謝料の額を算定することが一般的です。
相談者は、「むち打ち」で「3か月」通院されているので、「赤い本」の基準ですと、53万円が入通院慰謝料(傷害慰謝料)の金額となります。
交通事故の場合、大半は被害に遭った場合であっても過失があるとされます。過失があると、過失割合分が賠償金から差し引かれることになるため、過失に応じて先ほどの53万円よりも低額となる可能性はあります。
もっとも、今回の相談者様の場合、信号待ちで停車中に追突されており、相談者と相手方の過失割合は、基本的には、相談者:相手方=0:100ですので、過失によって賠償金の額が差し引かれているわけではないようです。
したがって、相談者様が相手の保険会社から提示を受けた30万円という金額は、赤い本の基準より低額ということになるでしょう。つまり、一般的な基準よりも低い額を提示されたと考えられます。交渉によっては、30万円よりも高い金額を得ることができる可能性があるといえるでしょう。
相談者様のように、保険会社から損害賠償金の提示を受けたが、その金額の妥当性が分からないというときは、弁護士に相談をされるのも良い方法です。
また、金額に納得がいかない場合、ご自身で保険会社と交渉する手段もありますが、弁護士に依頼することにより、ご自身の手間が大幅に省けるだけでなく、金額も専門家である弁護士を通した方がアップすることが多い傾向にあります。
なお、ご自身の保険で、弁護士費用特約に入っているような場合には、弁護士への相談費用が保険でカバーできることもありますので、ご相談の前に保険会社に確認してみてください。
弁護士法人柴田・中川法律特許事務所では、交通事故のご相談も多数お受けしています。少しでもお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。